平間一也の産業論 ~ 電気とエネルギーのこれから

電気代はこの先どこまで上がり、売電から自家消費への転換は何をもたらすのか。太陽光・蓄電池専門店ECODA代表 平間一也氏が、FIT制度と市場構造の両面から、日本のエネルギー産業のこれからを読み解くブログです。

平間一也の産業論 ~ 電気とエネルギーのこれから

電気代はこの先どこまで上がり、売電から自家消費への転換は何をもたらすのか。太陽光・蓄電池専門店ECODA代表 平間一也氏が、FIT制度と市場構造の両面から、日本のエネルギー産業のこれからを読み解くブログです。

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平間一也が語る、住宅用と産業用で分かれた太陽光の経済メリット — 屋根置きと野立ては、別の商売になった

太陽光発電という言葉は、ひとつの市場を指しているように見えます。しかし実務の側から見ると、住宅の屋根に載せる太陽光と、土地に架台を組んで並べる野立ての太陽光は、収益の考え方からして別のものになっています。

前回は、家庭が太陽光を設置する目的が売電から電気代対策へ移った経緯を伺いました。今回はその変化が市場全体をどう分けたのかについて、株式会社ECODA代表の平間一也さんに伺いました。

自家消費が主流になった理由は単純

——住宅用で自家消費が主流になった背景を、どう説明されますか。

平間一也さん:売電の単価が下がり、購入する電気の単価が上がった。それだけです。

余った電気を売っても大きな金額にならず、一方で電力会社から買う電気は高くなっています。であれば、つくった電気は売らずに自分で使ったほうが有利になります。この計算の結果として自家消費が選ばれるようになりました。特別な思想があって普及したわけではありません。

——今後もこの流れは続くとお考えですか。

平間一也さん:続くと見ています。売電単価が急に上がる要因も、電気代が下がる要因も、いまのところ見えていません。前提が変わらないのであれば、自家消費が標準であり続けます。

屋根置きと野立ては、目的からして違う

——一方で、産業用や野立ての太陽光は同じ論理では動いていないのでしょうか。

平間一也さん:まったく別です。野立ては、いまでも売電収入を目的とするものが大半を占めています。

理由は明快で、その土地に電気を使う設備がないからです。発電した電気を消費する主体が現場に存在しないので、系統に流して売る以外に使い道がありません。ですから野立ての事業性は、いくらで売れるかという一点にかかっています。

対して戸建ての屋根置きは、電気を使う人がその建物の中にいます。つくった電気をその場で消費できるので、売る必要がありません。目的も売電収入ではなく、電気代の削減になります。

——同じ設備でありながら、経済メリットの計算式が別になっているということですか。

平間一也さん:そういうことです。野立ての場合は、投資した金額に対してどれだけの売電収入が返ってくるかという利回りの計算になります。屋根置きの戸建ての場合は、これまで電力会社に支払っていた金額のうち、どれだけを支払わずに済むようになるかという計算です。

前者は収入を生む事業で、後者は支出を減らす行為です。数字の出し方が違いますので、片方の常識をもう片方に持ち込むと判断を誤ります。太陽光の経済性をめぐる議論が噛み合わないのは、多くの場合この二つが混ざっているためだと思います。

制度変更の影響も、住宅用と産業用で異なる

——制度の改定は、どちらに強く効くのでしょうか。

平間一也さん:売電を前提としている側です。野立ては買取価格が事業計画の土台になっていますので、制度が動けば採算そのものが動きます。

住宅用は、すでに売電を主目的としていません。ですから買取価格が改定されても、設置を検討されている方の判断はほとんど動きません。同じ制度変更のニュースが、市場の片側にだけ大きく効くという状態になっています。

今後三〜五年で、業界構造は大きく変わらない

——今後三年から五年で、業界はどう変わっていくと見ていますか。

平間一也さん:そこまで大きくは変わらないと思っています。

自家消費が主流であるという構図は続きますし、野立てが売電中心であることも変わりません。技術面でも、家庭用の設備が短期間で入れ替わるような動きは見込んでいません。

変化があるとすれば、新築の戸建てです。太陽光がより標準的な設備として組み込まれていく流れは進みます。ただこれも構造の変化というより、いまの延長線上にある話です。派手な転換を予想する声は業界内にもありますが、私は現場の実感としてそうは見ていません。

まとめ

太陽光という一語でまとめられている市場が、実際には二つに分かれているという指摘でした。

野立てや産業用は、発電した電気を消費する主体が現場にないため、いまでも売電収入が目的です。事業性は投資額に対する利回りで測られ、買取価格の改定がそのまま採算に響きます。一方で戸建ての屋根置きは、電気を使う人が同じ建物の中にいます。目的は電気代の削減であり、評価軸は支出をどれだけ減らせたかになります。

この二つを混同すると、太陽光の収益性をめぐる議論は成立しません。片方は収入を生む事業で、もう片方は支出を減らす行為だからです。

そして平間さんは、今後三年から五年でこの構図が崩れることはないと見ています。変化は新築戸建てでの標準設備化という、既存の流れの延長線上に限られるという見通しでした。

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