平間一也が語る、家庭が電気を自給する時代へ — 電気だけは、自給自足ができる
電気自動車の普及、次世代のパネル技術、そして大量廃棄の問題。エネルギー産業の未来として語られるテーマは多くありますが、現場から見たときの温度感は報道と一致しないこともあります。
株式会社ECODA代表の平間一也さんに、家庭のエネルギーがどこへ向かうのかを伺いました。
エネルギー産業の今後については、こちらの記事を読んでみるものおススメ!
電気自動車は減らない、だから充放電の需要は増える
——電気自動車の普及は、太陽光にどう影響してくるでしょうか。
平間一也さん:電気自動車が減っていく傾向にはありませんので、自宅で充放電する需要はより増えていくと考えています。
車を家庭のエネルギー設備の一部として扱う考え方が、これから標準に近づいていきます。日中に発電した電気を車に充電し、必要なときに家庭側へ戻す。設備としては蓄電池と同じ役割を果たします。
——家庭のエネルギーの姿が変わっていくということですか。
平間一也さん:屋根で発電して、貯めて、家と車で使う。この形が完成に近づいていきます。いま蓄電池を検討されている方の中には、電気自動車と役割が重なる部分がありますので、両方を分けて考えるとかえって効率が悪くなります。
ペロブスカイトへの期待は、戸建てに限れば慎重に見ている
——次世代技術として注目されているペロブスカイト太陽電池について、どう見ていますか。
平間一也さん:いまよりは普及すると思っています。ただ戸建てに関しては、もう少し先になると見ています。
理由は耐久性です。戸建ての屋根に載せるのであれば、現状のパネルのほうが圧倒的に耐久性があります。住宅は二十年、三十年という単位で使うものですから、そこに載せる設備の耐久性は譲れない条件になります。
——実務家としては、まだ選択肢に入らないということですね。
平間一也さん:戸建てについてはそうです。壁面や曲面など、いまのパネルが載らない場所で使われる用途では広がっていくと思います。ただそれは、既存のパネルを置き換える話とは別です。
新しい技術が出てきたときに、既存のものがすぐに入れ替わると語られることがよくあります。実際に現場で扱う立場からすると、そこには段階があります。
大量廃棄の問題は、撤去費用として顧客に現れる
——二〇三〇年代の大量廃棄が問題として指摘されています。どう捉えていますか。
平間一也さん:戸建ての現場でこれが現れるのは、家を解体するときです。太陽光が載っていると、廃棄の費用が上がります。十万円から二十万円前後を見ておく必要があります。
——設置を検討する段階で、伝えるべき情報だとお考えですか。
平間一也さん:伝えておくべきだと思っています。設置から解体までの全体で費用を見ていただくほうが、後から知るよりも納得していただけます。
金額としては、住宅の解体費用全体の中では大きな比重ではありません。ただ、知らされていなかったという状態が一番よくないと考えています。
——出力制御や系統連系の問題については、現場ではどう捉えられていますか。
平間一也さん:戸建てに関しては、大きな問題になっていません。報道で扱われる規模の話は、主に事業用の発電所側で起きていることです。
中小事業者が生き残る道は、シェアと行政からの信頼
——脱炭素の流れの中で、中小の太陽光事業者はどう生き残っていくと見ていますか。
平間一也さん:太陽光と蓄電池で全国的なシェアを取っておき、行政からも依頼が来るレベルまで持っていく。ここを目指しています。
規模を持たない事業者が価格だけで戦えば、いずれ立ち行かなくなります。実績と信頼を積んで、公的な立場からも選ばれる位置に入ることが、生き残る条件だと考えています。
——五年後、十年後の会社の姿として描いているものはありますか。
平間一也さん:商品の販売から、製品を作るところまで一貫してやりたいと考えています。それから、SNS広告だけではなく、さまざまなアプローチで顧客を増やしていく。全国一位の販売店を目指しています。
目指すのは、全世帯の電力自立
——最終的に実現したい状態を挙げるとすれば何でしょうか。
平間一也さん:全世帯が電気を自給自足している状態です。電力の需要が急増していくことと、災害への備えという二つの理由からです。
太陽光を売る仕事だと思っていません。届けているのは生活インフラのひとつです。ガスも水道も家庭で自給自足することはできませんが、電気だけはできます。この一点が、太陽光を他の設備と分けているところです。
——だからこそ普及させたい、ということですね。
平間一也さん:太陽光と蓄電池をもっと当たり前のものにして、適正な価格で届けたい。訪問販売で高い金額を支払って損をされている方が多くいらっしゃいます。自社ができることは、適正な価格を伝えることです。
まとめ
未来の話として平間さんが挙げた要素は、期待の大きさで並んでいませんでした。
電気自動車については、普及が減る要因がないため自宅での充放電需要は増えると見ています。一方でペロブスカイトについては、戸建てに関しては耐久性の面で現状のパネルに及ばないため、普及はもう少し先という判断でした。新技術がすぐに既存を置き換えるという語り方に対して、段階があるという指摘です。
大量廃棄の問題は、戸建ての現場では解体時の廃棄費用として現れます。十万円から二十万円前後という金額を、設置を検討する段階で伝えるべき情報だと位置づけていました。
そして最終的に目指す状態として挙げられたのは、全世帯の電力自立でした。電気だけは家庭で自給自足ができる。この一点を根拠に、太陽光を生活インフラとして扱うという考え方が、連載を通じて一貫していました。
全五回にわたり、平間さんにエネルギー産業の構造を伺いました。